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北海道を知ろう

北海道の代表的な衛星都市・ベッドタウン・隣町①

「地方都市の隣町」――そう聞いて皆さんはどういったことを思い浮かべるでしょうか?

全国的に都市部への人口の集中や地方の人口減少、経済的な衰退が顕著になっています。ましてや北海道。札幌を中心とする石狩地方に経済的・文化的な資源が集中し、一極集中が叫ばれています。

その一方で、地方であっても都市に隣接している町村ではこれまで担ってきたベッドタウンとしての役割や、地方都市の中心街の衰退を伴うアーバンスプロール、またロードサイド店の開業などにより、充実した住環境が提供され実質的に都市そのものより経済的な衰退が緩やかな町も存在しています。今回はそうした「地方都市の隣町」について見ていきたいと思います。

1. 充実したロードサイド店―釧路町と釧路市

釧路町は釧路市の東隣に位置します。町役場は釧路市の中心市街地から直線距離で約7kmの別保地区にあります。町内の北部一帯には雄大な景観や貴重な自然環境を擁する釧路湿原が広がり、南端は太平洋に面しています。また中部には陸上自衛隊の駐屯地があります。将来的に道東道と接続する釧路外環状道路のインターチェンジも設けられており、釧路の市街地を経由せずに釧路空港や帯広・札幌方面を目指すことも可能です。その一方でJR根室本線と釧網線が走っていますが、大きなターミナル駅は存在しません。

そんな釧路町の特徴はなんといっても釧路市美原地区に隣接する国道44号線沿いのロードサイド店舗群ではないでしょうか。スポーツ用品店やホームセンター、飲食店にアミューズメント施設、大型スーパーまであらゆる店舗が道沿いを埋めており、駐車場も広く、賑わいを見せています。釧路町と釧路市の境界には移動に際し大きな障壁を伴うものではありません。市町境を跨ぎ近隣には大学や高校もあるほか住宅地も広がっています。そのためこれらのショッピング施設には学生や家族連れなど若い買い物客も多く見られます。

釧路町はこうした立地を活かし、釧路市のベッドタウンとしての性格もあります。一方で釧路駅を中心とした釧路市の中心部は大型スーパーの規模縮小や百貨店の閉店など、空洞化が目立ちます。人口ベースでみても、2010年と2020年を比べると釧路市の人口は9%の減少がみられますが、釧路町では7%の減少に留まっています。これは釧路町内の自衛隊駐屯地や漁業・農業や製造業といった産業の存在、釧路市の産業の地盤沈下といったほかの要因も影響していることは当然考えられますが、ロードサイド店を中心とした釧路町の経済的な繁栄も少なからずあるのではないでしょうか。

2. ロードサイド店と産業の振興―音更町

道東地方にもう一つ、大きな賑わいを見せる町があります。帯広市の北隣にある音更町です。2020年の人口は4万3千人あまり。これは総合振興局が置かれている稚内市や江差町をも越える数です。2010年と比べても約3%の減少に留まっています。隣接する帯広市の人口減少率が約1%なのでそれに比べると及びませんが、この数字はかなりのものです。基幹産業はなんといっても農業ですが、道東道音更帯広インターチェンジの周辺には立地を活かした流通団地や道の駅が整備され、一次産業だけでなく加工・流通や町内にある十勝川温泉も含めた観光産業にも力を入れています。

そんな音更町もやはり、ロードサイド店が充実しています。帯広市側は十勝川を渡ってすぐの木野地区には国道241号線沿いにスーパーや飲食店、家電量販店などが軒を連ねます。今後も帯広市にはない全国チェーンの量販店の出店計画があり、充実度はさらに高まるでしょう。また近隣では開発が続く住宅地が見られ、帯広市のベッドタウンとしての性格が強いことがわかります。釧路町と異なるのは音更町と帯広市の行き来には十勝川に架かる4本の橋のいずれかを渡る必要があり、通勤時間帯や休日には一部道路が混雑を見せることです。

一方の帯広市。平成に入り帯広駅周辺にあった大型スーパーの郊外移転や規模の縮小、2023年1月には現在では道東唯一となっていた百貨店が閉店する予定で中心市街地の空洞化が避けられそうにありません。先に述べたように、帯広市は地方都市の中では衰退のペースが緩やかであり、現状では充分に健闘しているといえますが、今後の音更町のあり方によっては町の賑わいという点では音更に軍配が上がることもあり得るかもしれません。

まとめ

多くの地方では斜陽化がみられます。また都市の空洞化は地方都市の課題であり、釧路市や帯広市と釧路町や音更町の関係性は、典型的な地方都市の関係性と言えるでしょう。しかし、これまでの地域ごとの歩みや今後のあり方、各自治体の経済状況や住環境、利便性によっては、必ずしも衰退の一途を辿るばかりではないのではないでしょうか。単一の自治体のみを見た場合、都市の空洞化は近隣の自治体にとって衰退に歯止めをかけるチャンスとなるかもしれません。

今回は取り上げませんでしたが、旭川市近郊の東川町や東神楽町も充実した住環境や旭川市へのアクセスのしやすさから住み心地のいい自治体として名を馳せています。また、東川町には大雪山系の山岳観光の拠点としてアウトドアブランドメーカーも店舗を構えています。地方の衰退ばかりを憂うのではなく、そうした自治体が持つポテンシャルに目を向けていくことも必要なのではないでしょうか。

参考文献・サイト

https://higashikawa-town.jp/

https://www.town.higashikagura.lg.jp/

http://www.town.kushiro.lg.jp/

https://www.town.otofuke.hokkaido.jp/

https://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/001ppc/co.html